松田権六・石川県立美術館所蔵~蓬莱の棚~日本の名品

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漆芸の世界に漆の神様と称される人がいる。

蒔絵の人間国宝、松田権六(1896~1986没)

若干7歳の頃から漆芸の道に入り、金沢で五十嵐派の蒔絵を学び、以後東京に出て様々な流派の技法を学びわたった。

古典研究、修復にも尽力古代の技法研究にも意欲的に取り組み、漆芸において卓越した技術を誇った、20世紀を代表する名匠の蒔絵師、漆芸家である。

 

蒔絵:漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法である。

蓬莱の棚


蓬莱の棚は松田権六の代表的作の一つである。

第二次世界大戦が激化する中、東京に住んでいた松田権六は明日の運命もわからぬ中、遺品を作るつもりで、自分の持てる技術の粋を注ぎ込み、制作した大作。

棚の表面には蘇芳で染めた網代を張って地を作りその上に、たくさんの鶴が様々な姿、生き生きとした表情で描かれている。

金、銀、卵殻、平文などを用いて表現されている。

棚の中にも数多くの技法を使い日本の喜祥模様であしらわれている。

棚の前に膝をつき扉を開けようとするときに、上を向くと、天板の裏側に極楽を思わせる蒔絵が施されており、まさに細部までこだわりきっられた逸品である。

網代:竹を編みこんで板などを作る技法。

卵殻:ウズラの卵など薄い卵を使う、細かく卵の殻を割って、平らにして乾いていない漆の上に細かく張っていく、漆では純白の色が作れないので、白を表現したいときに重宝されている。

平文:薄い金や銀の板を、切り取って使う、漆の面を掘り下げそこに埋め込む、蒔絵で表現しにくいシャープな表現が可能。

喜祥模様:日本で昔から縁起がいいとされている模様。

 

逸話


蓬莱の棚には逸話が多く残っている。

棚の表面には胡紛で華麗な流水が描かれている、この流水は展覧会に出品する時にケースに入れられたときはまだ描かれていなかった、ケースに入れた後でその場で松田権六が下書きも何もせずに、一気呵成にじかに描き上げたらしく、にわかには信じられない話だが、師の技量の高さがうかがえる。

展覧会後に購入され、棚は長岡に行った、そこで持ち主の家が空襲に襲われたのだが棚のある蔵だけは運よく火の手を逃れた。

そのような幸運に恵まれたおかげで今でも蓬莱の棚は私たちに蒔絵の美を伝えてくれる。

戦後石川県がこの棚を7千万円で購入しようとしたところ、持ち主に拒否された。

その後1億円で購入されたのだが、その時議会では1億円出すことに満場一致で可決された。

今では石川県立美術館に所蔵されている。

将来間違いなく、国宝に指定されるであろう、石川県の強いては日本の宝である。

蓬莱:諸説あり、理想郷の一つ。

1億円:ぜろが8つ。

 

 

石川県立美術館には他にも松田権六の作品が所蔵されている.

下のリンクから見れます。(石川県立美術館、所蔵品のご案内)

http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/collection/index.php?app=shiryo&mode=list&list_id=13680772

 

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