鴨居玲、死を見つめた画家 ~ 石川県立美術館

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没後35年 鴨居玲展-静止した刻-が金沢の石川県立美術館で開催されています。

今回は死を見つめ死にとらわれた画家、鴨居玲を紹介していこうと思います。

 

 

略歴

  • 1941年 金沢市現在の金沢高等学校に入学。
  • 1946年 金沢市立金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)に入学。宮本三郎に師事する。
  • 1950年 二紀会同人に推挙される。
  • 1952年 芦屋・田中千代服装学園の講師となる。
  • 1959年 渡仏(1958年という説もある)。
  • 1961年 帰国。二紀会を退会する。
  • 1964年 創作に行き詰まり、南米、パリ、ローマを渡り歩く。
  • 1965年 帰国。
  • 1967年 二紀会同人に推挙される。
  • 1968年 初の個展。この時、下着デザイナーの姉・鴨居羊子を通じて知り合った小説家・司馬遼太郎と親交をもつ。
  • 1969年 昭和会賞と安井賞を受賞。
  • 1971年 スペイン・ラ・マンチャ地方のバルデペーニャスにアトリエを構え、制作に没頭(~74年)。
  • 1984年 金沢美術工芸大学の非常勤講師として講義。
  • 1985年 神戸市の自宅で排ガスにより自殺。心臓の病気と、創作に行き詰まり(この時期は自画像をひたすら描いている)、たびたび自殺未遂を繰り返した末の死であった。享年57。

Wikipedia参照

 

鴨居玲という画家


鴨居玲は作品から感じるに、とても繊細な人なんだなと感じる、常に作品の中にうまくいかないという葛藤があり、それをどうにかかしようと苦しみながら筆を走らせている。

 

とても繊細で、末っ子らしく甘えん坊、ユーモラスでとてもやさしい人。

けれどいつも心の中に矛盾を抱えている、本などではそんな風に解説されている。

 

金沢、神戸、フランス、スペイン、様々な所に住み常に作品を制作している。

壮絶なほどまでに描くという行為を執拗に続け、その一転に己の人生をかけた男。

鴨居玲の作品は常に死を意識していたという、描くという行為から死を見つめ続けた、男は晩年は自殺未遂を繰り返した。

周りの人の支援もその実を結ぶことなく、鴨居玲は最後には自殺を遂げた。

「人生にも芸術にもドラマが必要」

生前そういっていた通り、男の人生は絵画はドラマにあふれていた。

 

作風


鴨居玲の作品、生き方のどちらを見ても死を意識させる。

戦争の時代を生き、兄は戦死している、父もその半年後に急死した。

身近な女性が自殺したという出来事もあった。

それは20歳ぐらいのころのことであり、人が最も多感な時期に目の当たりにした死は、、彼に大きな衝撃を与え、以後の人生において影を落としたことは、想像に難くない。

この時期の絵は、どこか人を寄せ付けぬような攻撃的な所があり、一瞬で壊れてしまいそうなほどに破滅的である。

そこからさまざまな地を旅した彼の一番の関心は常に人であった。

彼の絵には決して呼吸がない、常に彼の絵の世界は静止している。

そこから死が連想される、背景は描かない、関心は常に人である、そして自分である。

自己を見つめすぎた結果彼は死から離れることができなくなってしまったのではないだろうか。

背景に潜む闇には死の世界が無限に広がっている、そのことをひたすら描く行為を通して彼は見つめていたのだ。

鴨居玲はとても人気のある作家だ、その理由の一つとして、彼の絵にリアルがあるからだと思う、彼の問題は常に目の前にいや心の中にあり、それを苦しみながら描き続けた、その苦しみはまぎれもなくリアルであり私たちはそのむき出しの死から目を背けることはできない。

鴨居玲との出会い


石川県立美術館の特別展を見に行った時に、たまたま二階の常設展で鴨居玲の特集展があった。

いくつかの美術館を見た後だったので私はとても疲れていた、そんな中ふらふらと鴨居玲の作品を見た。

天才だと思った。

私が見た絵は「教会」という絵で、緑がかった青が一面に塗られており、その中に教会が宙に静止している絵だった。

正に壮絶なまでの描くという行為、なぜ空に浮く教会をここまで本気で描くことができるのか、その絵の中には宙に浮く教会こそ教会だと思えるほど、真摯に描かれていたのだ。

教会は素晴らしい絵だった。

しかし彼の本髄は人だ、執拗なまでの人間観察から生まれる芸術は見て絶対に損はない。

生きるとは死ぬことと表裏一体でそれを普段人は見ないように生きている、鴨居玲は違った。

彼は死を見て見ぬふりをしなかった、いや出来なかったのではないだろうか。

 

石川県立美術館 

http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/

で7月31日~8月30日まで。

 

コロナの影響で残念ながら見に行けない人もいると思います。

鴨居玲没後展は5年ごとにあります。

石川県立美術館の常設展でも(1~2点は)見ることはできます。

ぜひいつか見て欲しいと、本気で思います、アディオス!

 

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