工芸における分業とは・分業化における問屋の必要性を解説します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
     

今の社会は職業の分業で回っています、誰かが食べ物を作ってくれるから、ほかの人は食べ物を作らなくていいのです。

食べ物を売ってくれる人がいるから、農家の人は食べ物を作ることに集中できます。

私たちが食べ物を作らないでいいのは分業制のおかげなのです。

その代わり他の人は、何かを開発したり、お医者さんをしたり、電気製品を売ったり、工芸品を作ったり様々な仕事をします。

分業制はとても効率的です。

 

もしお医者さんが自分で食べる分の食料を作らなければいけないとすると、とてもじゃないけどお医者さんになるための知識を学べませんし、人の病気を長い期間見てあげることもできません。

お医者さんがしっかりといい仕事をしてくれるように、ほかの人たちが食料を作ります、そのおかげでお医者さんは高度な知識をつけより困難な病気を治せるようになります。

農家の人も素人が作るよりも、ずっと効率的に量を作れるし、おいしものも作れます。

分業制は仕事が複雑化する今日において必要不可欠な制度なのです。

何かの分野で一人前になるには膨大な修練の時間が必要です、何もかもマスターするには私たちの人生は短すぎます。

だからみんなで手分けして仕事を習得して、協力し合うのです、とても効率的な方法です。

 

工芸の世界の分業制


工芸品の世界では分業制が多いです理由としては

  • 製作するために工程が多い
  • 個人で大量に作ることが難しい
  • 工程別に必要な技術が異なる
  • 一つの分野を修めるのに多くの修練が必要

という理由が挙げられます。

 

製作するために工程が多い

工芸は自然の材料を使い、手仕事が主なため、人間の思い通りに材料を扱うことは難しいです。

そのため人に合わせるのでなく材料に合わせた仕事をする必要性があります。

 

個人で大量に作ることが難しい

工芸品を一つ作るだけでは当然ですが食べていけません、ですが工程が多いので、どうしても個人では作れる個数が限られてきます。

そこで分業にすることで、一つの工程に特化し無駄を省くことができます。

 

工程に必要な技術が異なる

漆器で説明すると、漆器は大きく分けて三つの分野に分かれています、木地と塗りと加飾です。

これらの仕事は必要なスキルや道具が多きく異なっているため、一人の職人がこなすには困難であるのと、時間がかかりすぎて、非効率になってしまいます。

 

一つの分野を修めるのに多くの修練が必要

木地、塗り、加飾は大きく必要なスキルが違いますそのためそれぞれ習得するのに3~5年ほどかかります、それに習得したら終わりなどではなく、そこからさらに技術を磨いていく必要があります。

全てを中途半端にこなすより、一つのことを極めほかの分野の人と協力することで、技術は掛け算になり素晴らしい物づくりを可能にします。

 

九谷焼などでは素地づくりと、絵付師がわかれています。

もちろん個人で両方する人もいますが、作られる数は限られてきます。

多く作るためにはやはり分業制がとられます。

一つの工程を集中的にするほうが効率的に作業を進行させることができます。

それは多くの工程を必要とすればするほど顕著になっていきます。

 

これらは工芸の世界に限られませんが、専門職を習得するのは時間がかかる物です。

せっかく専門的な技術を持つのに畑違いのことをすれば、宝の持ち腐れになってしまいます。

専門的分野であればほかの人よりも何倍も活躍できるのです。

 

工芸の世界は産地が大きな会社のようなものです、会社には人事や広告や営業などそれぞれが自分の能力をうまく引き出せるように協力し合っています。

産地の職人は工程ごとに独立していますが、決して一人では生きていません、お互いに協力し合って、大きな仕事を可能にしています。

そしてその協力を滑らかにする潤滑油の役割を果たすのが問屋なのです。

 

問屋の仕事


問屋はお客さんのニーズなどを取り入れ商品を企画したり、各職人に仕事を割り振ったりします。

職人ごとにも得意分野があります、漆器の絵付けなどで言えばAの職人は鳥を描くのが上手だ、Bの職人は植物を描くのが上手だそういったことを把握して、得意な仕事を職人にうまく割り振ります、そうすることで高品質な製品を作ることが可能となります。

そしてできた工芸品をお客さんに届けるために、販売してくれるお店に卸売りします。

いわば商品企画部門と営業部門が合わさった感じをイメージするといいかもしれません。

百貨店などへの営業したり、ネット販売したりもします。

問屋はほかにも職人さんが不得意なことで悩まないように仕事を割り振ったり、工程ごとの進行をスムーズにするために工程間の受け渡しを引き受けたりと雑務もこなします。

そうすることで職人が自分の仕事に集中することができるのです。

たまには変わった仕事を職人さんに発注することもありますが、そういった普段しないであろう仕事をすることで、職人の腕も磨かれるのです。

ですがそういった仕事を頼むのは確かな信頼関係がないと難しい物です。

各自が自分の得意なことをすることで、本来個人では苦手な分野をカバーしなおかつ得意な分野を最大限発揮することができます。

そうすることで長所がまじりあい素晴らしい物づくりが可能になります。

美しい工芸品を作るためには様々な人が協力しています。

それは個人の作家であろうと変わりありません、作家が使う材料は誰かが汗水たらし用意したものなのです。

「井戸の水を飲むとき掘った人を忘れてはならない」という言葉があります。

私たちは一人で生きてなどおらず、常にだれかに助けてもらっていることを忘れてはいけないのではないでしょうか、そしてそのことに感謝するということはとても大切なことだと私は思います。

 

 

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*