能登秘境探検記File1輪島水芭蕉群生地

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全国のコロナウイルス感染拡大により、2021年5月某日石川県では県独自の緊急事態宣言が発令された。

それに伴い、県営の施設は休館に、私が休日によく足を運んでいた美術館も当然休館となっている。

複数人との接触や飲食が制限されている中での、美術館の休館、私は休日に何をすればいいのだろうか、作品を作ればいいのだろう、しかし気が付けば意味もなくスマホで数時間を使う日々、募る自己嫌悪、そんな日々を過ごす中、ふと疑問に思う。

 

「私はなぜ美術館に行きたいのだろうか??」

 

絵画や工芸品、現代アートを見たかったのだろうか?
見たいのは確かだけど、でもただ芸術作品を見たいというのはこの問いの本質的な答えではない気がする。

おそらくだけど、私が見たかったのは、心が休まるような美しさや、様々な物の見方からくる新鮮な驚きや発見なのではないだろうか。

見る価値のあるものを見たかったのだ、それは美術館でしか見れないものなのだろうか?
否そうではないはずだ。

漆の神と謳われた人間国宝蒔絵認定者の松田権六は生前こんな言葉を残している。
「自然から学べ」

ルネッサンス三大巨匠が一人かのモナ・リザを生み出した、万能人レオナルドダヴィンチはこう手記に残している。
「なぜ師の師である自然から学ぼうとしないのか」

 

私たちが見ている美術品はいうなれば、自然から生み出された子供であり孫たちなのである。

そのつなぎ手がアーティストと呼ばれる人たちなのではないだろうか。

なら私たちは美術館に行けなくとも、自然から様々なことを見て学び、美を感じられる。

私はそう思い能登秘境探検に行くことを決めたのであった。

 

File no 1/水芭蕉群生地:三蛇山


 

石川県輪島市下黒川町にある三蛇山その山奥に能登半島最大の水芭蕉群生地帯があり、その数は約4000とも言われている。

輪島市の中心地から車で約25分ほど、輪島市在住の私からすれば、本来so easyな道のりのはずだった。

 

そうあの事件さえなければ。

 

去年の秋石川県ではクマが人里で多数目撃され、大きなニュースとなった。

輪島市では長い間クマと遭遇したという報告はなく、奥能登にはくまはいないというのが地元の人たちの通説だった。

しかしつい2週間ほど前、輪島に激震が走る。

クマ、クマが目撃されたのだ、その情報はすぐに町内放送で市内を駆け巡った。

クマが目撃された場所とは、正に今回の目的地、水芭蕉群生地の近くだったのである。

もちろんたまたまクマに出会う確率なんて、ほとんどありえないような確率のはずだ、けれど脳裏にうかぶもしもがぬぐい切れない。

追い打ちをかけるように、町内放送でクマ注意喚起の放送が流れてくる。

秘境探検には多くの障害が存在するそんなことは承知の上だ、私は車に乗り込み、スマホで目的地を入力して、エンジンを回す。

ドルブルブオオーン。エンジンがうねりを上げ、車は発進した。

その旅の先には何が待ち受けるのだろうか。

 

まばらにある人家を抜け山道を車で走っていく。

20メートル以上ある木に絡まりてっぺんを牛耳る藤の花は見事で、自然の力強さを感じる。

木が倒れている場所もいくつもあり、かなり山奥まで来ていることが察せられる。

やっとの思いでついた、スマホの目的地には何もなく、そこから車で引き返したりしながらも、なんとか水芭蕉群生地までたどり着くことが出来た。

今日のお菓子はドーナツ


 

無事付けたことに安堵しながら、リュックサックからドーナツを取り出し食べる。

甘くてとてもおいしい、ドーナツの原価ってすごい安いと聞いた記憶がある。

オールドファッションの半分側にチョコレートコーティングされており、味を飽きることなく最後まで楽しめる、大満足のドーナツだった。

ちなみにドライブのお供の飲み物はコーヒーである、ドライブとコーヒーの相性は最高だ。

これは豆情報だが輪島市にはファミリーマート以外のコンビニは存在しない、今回のコーヒーももちろん、ファミリーマートのコーヒーである。

 

秘境探索


 

車を駐車場に止め、水芭蕉群生地に入っていく、階段を下りて少し進むと、見渡す限り水芭蕉の葉でおおわれていた。

例年は5月中旬ごろが見ごろと言われていたのだが、残念なことに今年の開花の時期は4月中旬だったらしい、どの水芭蕉にも花の姿は見られなかった。

花のない水芭蕉群生地を一人物思いにふけながら歩く。

これといって特筆すべきこともなく、車に乗り込みかえることにする。

同じ道を帰るのも、味気がないので別ルートに車を走らせる。

山道を下る途中の景色は、天気の良さも合わさり、本当に秘境を走っているかのようで、つい車を止め景色に見入ってしまった。

そこは山奥だというのに田んぼがあり奥には日本海が広がっていた。

昔から探索するのが好きだった、もしかしたらなんでもない風景なのかもしれない、けれど予期せぬ時に現れる美しい景色は、いつも感動してしまう。

そんな中、不思議な看板を見つけ、再び車を止めて、看板を読んでみる、そこには確かに要石と書いてあった。

急斜面の山に微かに道があった、人が通ることがめったにないのだろう、道はあれていてた。

要石とはいかなるものなのだろうか、山道を登る面倒くささより、好奇心が勝り、荒れた急斜面の道を、登っていく、なんとか登り切り上を見上げると、そこには巨大な岩が、存在感を放ちながら、たたずんでいた。

この岩は元々ここにあったのだろうか、それとも運ばれてきたのだろうか、急斜面だから大雨で崩れてこないのだろうか、疑問は多々あれど確かなことは何一つわからなかった。

けれど、その岩が放つパワーは感じ取れた。

そこには私が秘境探検で求めたもの、本当に見る価値がある物が存在していたのだ。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回能登秘境探検記File2でお会いしましょう。

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